今日はこの何の変哲もない「お地蔵さん」に秘められた物語をご紹介いたしましょう。
毛生え地蔵
この地蔵の名は「毛生え地蔵」。栃木県栃木市の高平寺にいらっしゃいます。

優しげな細い目尻と手を合わせて小首を傾げる様子がどこか愛らしいですが、この毛はえ地蔵には次のような言い伝えがあります。

「その昔、三毳山の地蔵に頭巾をかぶせてあげた善良なおじいさんがいた。すると髪の毛がふさふさ生えてきた。意地悪なおじいさんが真似をしたが、望みはかなわず逆に生えていた毛まで奪われてしまった」

恐ろしいですね。

後世にまで語り継ぎたい逸話ですが、この話に出てくる三毳山(みかもやま)は毛が三つの山と書くハゲルヤ的には大変縁起の良い名前ですが、こちらの麓にあるのが毛はえ地蔵のある高平寺になります。
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高平寺は奈良時代に建立された大変歴史のあるお寺で、ある説によれば天台宗の開祖である最澄の弟子・慈覚大師と呼ばれる円仁が9歳までの幼少期を過ごした場所とも言われています。

歴史を紐解けば紐解くほど、我々の頭髪にいい効果が生まれそうですが、実は毛生え地蔵が生まれたのはわずか10年前。

頭髪で言えば産毛状態ですが、逸話が誕生したのも同じく10年程で、着想は住職の弟で僧侶の仙田陽高さんが三毳山の「毳」の字、毛が3つという部分からそれっぽい話を考えたとか。確かに言い伝えでありそうな絶妙な話です。
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アイデアのきっかけは仙田さんが寺にゆかりの慈恵大師の出自を調べたことにありました。

歴史というものは長く語られてくる中で、1人の人物の人生でさえも様々な説があり、「歴史は必ずしも事実だけではない。人間の営みの中で出たウソがいつしか既成事実化してしまうこともある」と考えたといいます。

そこで仙田さんはこう思ったそうです。

自分でも試してみよう!

火のないところに煙は立たず、毛根のないところに毛は生えずと言いますが、仙田さんは10年後、100年後には日本で広く知られるような話になる…という願いを込めてこの逸話を考えたわけです。

薄毛にご利益があると言う逸話が生まれた高平寺の毛はえ地蔵。今日も穏やかに微笑むお地蔵さんの横に言い伝えが書かれた冊子が置かれています。

栃木を訪れた際は我々にとってありがたい逸話に触れてみてはいかがでしょうか。

嘘から出た真になるといいですね。

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