ヒトも同じ哺乳類なのに、犬や猫のように全身にしっかりとした毛がないのはなぜなのでしょうか。そして同じヒトでも我々の頭皮に毛が少ないのはなぜなのでしょうか。
今日はそんな、人類と毛にまつわるお話です。
ヒトと毛の歴史を紐解く

謎を解く鍵はカート・ステン氏の著書『毛の人類史』にありました。この本の中で、ヒトは温度に敏感な脳を守るために全身の被毛を失った」と説明されています。
ヒトは体温が40度以上になると、脳が耐えられず意識障害を起こしてしまい、42.5度を超えると細胞が死滅していきます。そのため脳の大型化に伴って硬い毛を失っていったのだとか。
それなら「頭髪」も必要ないのでは?と思うかもしれませんが、頭髪は紫外線から体を守ったり、頭をぶつけた時のクッションになったりする役割を持っています。
そう考えると、我々はクッションなしで生きていることになりますね。
薄毛に悩んだ歴史の偉人たち

カエサルは古代ローマの政治家で軍人という異色の肩書きを持つ男性。『ガリア戦記』という本も書いた実績を持っています。
ハゲについては彼が書いた著書『ローマ皇帝伝』に次のような記述があります。
「禿頭だけは、政敵が攻撃のたびに揶揄の対象の対象とするのを何度も体験し、耐え難く悩んでいた。そこで乏しくなった髪の毛を、いつも頭のてっぺんから額の方へ撫でおろしていたし、元老院や民会から決議されて贈られたあらゆる名誉のうちで、月桂冠を終身かぶれるという権利ほど、喜んで受けとり活用したものはなかった」
古代ローマの偉人カエサルが、葉っぱでハゲを隠していたとは…。人類最初のカツラ、かもしれませんね。
カツラを愛用していたのは彼だけではありません。
富と名誉の先にあるのは、フサフサの頭髪なのかも知れません。
日本人と頭髪の関係

昔のヨーロッパの話が続きましたが、日本も頭髪にまつわる逸話が古くからあります。江戸時代の武士は、兜にあたる部分が蒸れないように頭頂部を剃る月代(さかやき)をしていました。
月代には、怒りを鎮める効果があると言われ、江戸時代の庶民の間にも広まったそうです。
確かに時代劇では、頭頂部を剃っている男性の姿をよく目にしますね。
月代のためにあえて剃っていたため、当時の武士はハゲ頭を気にしないのかと思いきや、織田信長が薄毛の明智光秀をからかっており、そこから本能寺の変につながったという説もあるので分からないものです。
時代は変わり薄毛は隠さないものへ

21世紀になった現在では、薄毛を隠さない人も増えています。ハゲルヤでおなじみのジェイソン・ステイサムやドゥエイン・ジョンソンなどハリウッドには薄毛を隠さない俳優がズラり。
人気映画『007』シリーズで初代ジェームズ・ボンドを演じたショーン・コネリーは、若手時代にかつらを着用していたのですが中年になって外すという異例のパターン。持ち前の顔の良さもあってかつらを外しても「渋い」と、人気が衰えることはありませんでした。
立場や地位、時代に関係なく人々を悩ませてきたハゲ。
医学の進歩でハゲがなくなる日も近いとされていますが、ハゲがいなくなったら、それはそれで寂しい世の中になってしまうかも知れませんね。
医学の進歩でハゲがなくなる日も近いとされていますが、ハゲがいなくなったら、それはそれで寂しい世の中になってしまうかも知れませんね。



