「容姿をいじる笑い」

これまでは当たり前のようにテレビで扱われてきた笑いの方程式が、昨今のルッキズムという考え方から通用しなくなってきています。
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これに困惑しているのはお笑いの世界。吉本興業が運営するお笑いの専門学校「NSC吉本総合芸能学院」はダウンタウンら、数々のスターを排出した養成所ですが、このような場所でも容姿をいじるネタは無くなっているというのです。
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不特定多数の人が目にするテレビというメディアでは、放送におけるコンプライアンスが重視され容姿をいじるネタができなくなっていること。

テレビで披露できないネタを鍛え上げても仕方ないということで、養成所時代からそうしたネタを避ける傾向にあるというわけです。

テレビではダメでも、舞台ならOKという風潮もありましたが、最近はネタ中に女性を「オンナ」と呼んだだけでお客さんが引いてしまい「女性」に言い直すケースもあるといいます。

見た目にインパクトのあるメンバーを抱える女性お笑いトリオ「3時のヒロイン」の福田麻貴さんは容姿に関するネタをやめるとツイッターで宣言し話題になりました。

自分たちの「武器」を捨ててでも、守らなければいけないものがある時代になったのです。

将棋界のハゲ棋士 佐藤紳哉が語る

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ハゲルヤではおなじみプロ棋士の佐藤紳哉さん。インターネットで配信されている将棋解説中に、突然カツラを外すパフォーマンスで人気となった人物です。

エンターテイメントとして佐藤棋士のハゲネタを楽しみにしているファンの方も多いですが、佐藤さん自身は今後もカツラネタを続けていくか悩んでいるのだとか。

きっかけは東京オリンピック・パラリンピックの開会式をめぐって、女性タレントを動物に見立てて容姿を侮辱するような演出が炎上したこと。

佐藤棋士は「共演する人や番組を制作する人にバッシングや批判が行ってしまうのは申し訳ない」と語ります。

佐藤棋士は、カツラ芸を楽しんでやっているため「やめてよ」と言われると「ずっと隠していなさい」と言われているような、醜いものとして扱われているような気がするというのです。

本人が嫌がっているものは避けて当然ですが、ハゲも個性として受け入れることも大切というのが佐藤棋士の考え方。しかし、これに反論する専門家もいます。

本人がネタにしたいのなら良いは間違い

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『ハゲを生きる』の著者でルッキズムやジェンダー問題に詳しい昭和大学の須長史生准教授は「外見を笑いにすることは外見差別、つまり外見に対する定型化されたイメージによる攻撃につながる恐れがある」と指摘します。

このような”特定のイメージ”が社会に波及することこそが問題であり、自分が良くてもその発言で他の人が苦しめられる可能性があると主張。一方ですべてを封じてしまうのは言葉狩りであり文化も貧困になる。我々が考えるべきは妥当なラインがどこなのかを見定めることだといいます。

お笑いが文化として成熟していくために

NSC吉本総合芸能学院で10年以上講師を務める放送作家の桝本壮志さんが大切だと考えているのは笑いに携わる人たちが持つ表現の感度。

音楽にもクラシック、ロック、パンクと多様な表現があり、すべてが品行方正というわけではありません。お笑いが文化として本当に成熟していくなら、リテラシーも求められていく時代だと話します。

「容姿と笑い」について考えることは、お笑いという日本が誇る文化がより深みのあるものになれるのかどうかの岐路に立っているのかもしれません。

発信する側はもちろん、受け取る私たちもリテラシーを高めていくことが必要かもしれませんね。

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