「髪の毛が後退しているのではない。私が前進しているのである」

かつて、SNSで薄毛を揶揄されたソフトバンクグループ創業者・孫正義氏の名言ですが、孫さんがただのハゲではないことを証明するエピソードが見つかりました。

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NEXYZ.Group代表取締役社長兼グループ代表の近藤太香巳さんが、孫正義さんと出会ったときのことです。

近藤さんは19歳の時に50万円を元手に創業し、34歳でジャスダック上場。37歳で東証一部に上場した切れ者の経営者なのですが、その近藤氏でさえ、孫さんと対面した時の桁外れの発想力に、

「このハゲ、頭おかしい」

とひっくり返ったそうです。

孫正義から突然の電話

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2001年6月頃、近藤氏の会社に突然連絡が入りました。電話の内容は「孫正義が近藤さんに会いたがっている」というもの。関係性のある間柄ならまだしも、面識はゼロ。しかもこの時点ですでに孫さんは世界を代表する企業家の一人だったそうです。

孫さんから「会いたい」と切望されていることに驚いた近藤氏。

孫さんの狙いは「Yahoo! BBプロジェクト」でした。

2001年当時、孫さんは「Yahoo! BBで日本にブロードバンド変革を起こす!」と息を巻いていたそうです。

時はITバブルの真っ只中。当時の日本はISDNの時代で、インターネットも今では信じられないくらい低速。Wi-Fi?それなに?という時代です。
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当時筆者もダイヤルアップ接続で、AOLのサイトを観ていた記憶があります。だからこそ、孫さんはブロードバンドで日本にIT革命を起こすと意気込んでいたんですね。

孫正義が放った仰天の数字

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近藤さんは携帯電話や衛星放送用チューナー、ETCを初期費用0円で持てる独自のビジネスモデルを普及させていました。孫さんはそこに目をつけて、Yahoo! BBプロジェクトでも営業力を貸してもらおうと考えたようです。

先述したISDNによるインターネット接続はNTTが提供していたサービス。孫さんはNTTのサービスに対して、Yahoo! BBに対抗しようと考えていたわけです。

ご存知のようにNTTは1985年に民営化されるまでは国営企業。一企業が立ち向かうには強大過ぎるため、孫さんから、Yahoo! BBの販売に関して「何件いける?」と問われた近藤さんは戸惑ったといいます。

しかし、起業家の先輩、世界の孫正義に「すごいな、近藤君!」と言って欲しい欲求から実現の可否は別として「月に1万台はできる」と、想像よりも多い数字を告げました。

すると、孫さんはこう返したそうです。

「近藤君、1ケタ足らないよ」

この瞬間、近藤さんは「このハゲ、頭おかしい。何言うとんや」と思ったのだとか。

1万件に1ケタ足したら10万件。この数字は、NTT東日本と西日本を全部足したレベルでした。孫さんはインターネットサービスからNTTを追い出す覚悟だったわけです。

そんなこと考えてもいなかった近藤さんは思わず「そんなことできるんですか?」と逆質問。

これに対して、孫さんはこう返したそうです。

「近藤君、男が戦うんだったら、NTTぐらいがちょうどいいんだ。それ以下と戦っても、それは弱い者いじめというんだよ」

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この言葉に近藤さんは心が揺らいだといいます。

心を動かす孫正義のスカウトメール

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孫さんからの熱いメッセージに心を打たれた近藤さんですが、10万件は難しいと弱気な返事をしたそうです。

すると、孫さんから食事に誘われ、その夜に料亭へ。ビジネスの話というよりは雑談も含めて楽しい夜を終えた近藤さんが帰宅すると携帯電話に1通のメール。送り主はもちろん孫さんです。

そこにはこう書かれていたといいます。

「僕は日本のブロードバンドの夜明けのために命を捧げる覚悟だと、1人では戦えないと、近藤君を中心として、近藤君に頑張ってもらいたいと。一緒に頑張ろう、孫正義」

このメールを見た近藤さんは、「なんて自分に酔っ払ってる人だ」と思ったそうですが、完全に心を掴まれて、「よしやるぞ!」と一念発起。自社の規模も拡大してブロードバンドの夜明けに尽力することを誓ったそうです。

「このハゲ、頭おかしい」と最悪の出会いだった2人は、その後、Yahoo! BBで日本の高速インターネットを実現させました。

ハゲていてもカッコいい孫さん、憧れますね。

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