「便利になったはずなのに、どこか不安が残る」
最近、美容医療やAGA治療をめぐって、そんな声を耳にすることが増えてきました。

その背景のひとつにあるのが、昨年7月、日本医師会が各都道府県医師会に向けて出した「美容医療の取り扱いについて」という通達です。
少し事務的なタイトルですが、そこには、いまの美容医療の現場が抱える課題が、はっきりと示されていました。
厚生労働省の調査によると、美容医療の分野では、医師や看護師といった資格を持たないスタッフが、診断や治療内容の決定に関わっているケースが確認されているといいます。
本来、病状の判断や治療方針を決める行為は、医師にしか認められていません。日本医師会はこうした実態が医師法などに触れる可能性があるとして、医師や医療機関に注意を促しました。
本来、病状の判断や治療方針を決める行為は、医師にしか認められていません。日本医師会はこうした実態が医師法などに触れる可能性があるとして、医師や医療機関に注意を促しました。
中には、医師の指示のもとで有資格者が行うべき脱毛施術が、ルールから外れた形で行われている例もあるそうです。
わずか数十秒で終わるオンライン診療の問題点

こうした問題は、クリニックでの対面診療に限った話ではありません。
AGA治療などのオンライン診療では、診察が数十秒ほどで終わり、医師の顔を見るだけで完結してしまうケースや、医師以外のスタッフ、あるいはLINEでのやり取りだけで治療が進んでしまうケースも指摘されています。
便利さが先に立つ一方で、患者の状態を丁寧に把握する時間が置き去りにされてしまってはいないでしょうか。
こうした診療では、症状の違いに関わらず、同じ種類・同じ濃度の薬が処方され、経過の確認もされないまま治療が続いてしまうことがあります。その結果、発毛の効果が十分に得られないだけでなく、体調の変化に気づかれないまま、副作用につながる可能性も否定できません。
薄毛が気になり始めたとき、あるいはAGA治療を検討するときには、治療の手軽さだけで判断してしまうのは、少し危うい選択かもしれません。
AGA治療における診断の大切さ

この状況について、銀座にある総合美容クリニックの医師は、次のように語ります。
「AGA治療では、本来大切にされるべき医師がきちんと診るという姿勢が、少しずつ薄れてきているように感じます」
背景にあるのは、「どの医療機関でも治療は同じ」「決まった薬を飲めば簡単に治る」といった、誤ったイメージが広がってしまったこと。
しかし、AGA治療薬の中には、もともと高血圧の治療薬として開発されたものもあり、体質によっては副作用が出ることもあります。一度診察を受けた後、個人輸入などで安く入手するのがいいでしょう。
薄毛の問題は、見た目だけの話ではありません。診察が形だけになってしまえば、髪の毛だけでなく、体そのものへの影響にも気づきにくくなってしまいます。
髪の変化は、ある日突然起こるものではなく、少しずつ静かに進んでいくもの。「もしかして」と感じたそのタイミングで、きちんと診てもらうこと。遠回りに思えても、その一歩が、結果的にいちばん確かな選択になるのかもしれません。
